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IR資料室

統合レポート

 



「NOと言わない」
 加賀電子グループ初めての統合報告書発行にあたり、中長期の成長戦略を述べる前に、その基礎となる無形の資産―50年にわたる歴史に培われた強みについてお話ししたいと思います。
 50年前の創業時は、お金もない、実績もない「ないないづくし」の状態でした。幸いにも人との出会いには恵まれ、縁あって頼まれたものはなんでも電話一本でお届けすることに徹しました。加賀電子は「エレクトロニクスの便利屋」として始まった会社なのです。
 その後、時代や技術の進展にともない、また為替や経済の状況によって、お客様のご要望は変化していくことを実感しました。扱う商材一つとっても、創業の頃は真空管だったものがトランジスタになり、ICになり、超LSIにと、アナログからデジタルへと急速に変わっていきました。そうしたお客様のご要望に愚直に応え続けることで、商材のラインアップを拡充し、部品の調達からキット販売、さらにEMSと呼ばれる受託生産へ、また商社という業態を超えた開発のお手伝いや、サポートサービスにまで業容を広げることになったのが、今の加賀電子という企業の基本的な成り立ちです。「ワンストップサービス体制」と言えば格好は良いですが、その原点はこうした顧客第一の取り組みです。また、現在の当社の強みとなっているグローバルネットワークも、円高などの影響から、日本企業のものづくりが中国やアジアなどに移管されたことから、私たちもお客様と一緒に海外に出ていって部品の調達や、現地でのEMSニーズにお応えした結果できあがったものです。私たちの商売の原点は、お客様満足度の向上です。この半世紀、“NOと言わない”をモットーに、加賀電子に頼めば何でもやってくれるという「信頼」を得るために努力し続けてきたのです。


「人脈は無形の財産」
 こうした歩みの中で、私たちは“人脈は無形の財産”という加賀イズムの一つの柱を形成してきました。
 そもそも当社のような独立系商社は、メーカー系商社のような「この商品はこの仕入先から」といった制限がないため、顧客第一に徹すると必然的に取り扱う商品アイテムが圧倒的に多くなります。それが今では、約4,000社のお客様と約2,000社の仕入先という、エレクトロニクス専門商社の中では際立って幅広い事業ネットワークを保有するに至っています。しかし、我々は単にお客様が本当に欲しいと思う商品を取り揃えるだけでこれだけのネットワークを構築してきたわけではありません。多くのお客様との日頃の会話の中から入ってくるさまざまな情報を統合し、つねに次のトレンドを察知してきたのです。つまり、人脈が太くなるたびに先を読む力が強くなり鋭くなるわけです。
 私たちが環境やニーズの変化に迅速かつ的確に対応できるのは、まさに日頃の信頼関係に基づく人脈=事業ネットワークのおかげであり、これらは商社を営むうえでの無形の財産、経営基盤の一つとなっています。


「在庫は罪の子」
 また、「在庫を持たないこと」から生まれた強みもあります。創業当時は資金がなかったので、先にご注文をいただき、その都度発注するというやり方を採らざるを得ませんでした。「在庫を持たない」のではなく「持てない」という窮余の選択でしたが、これが「在庫無し経営」の原則となり、現在、当社を支えている「受発注システム」に進化しています。在庫を持てば、資金が寝てしまう、借金ができてその分の金利がかかる、保管スペースや保険代など余計な費用もかかる―何も良いことがないので私は常日頃から“在庫は罪の子”と呼んでいます。
 こうした在庫がない状態がゆえに、当社グループの営業担当はお客様に対して能動的に、可能な限り迅速に発注情報を取りに行くようになり、ニーズの変化により迅速に対応できるようになりました。さらに、発注予定情報を仕入先メーカーに伝えることで、仕入先メーカーは計画的な生産ができるようになり、大いに喜ばれます。この情報サイクルをもとに、お客様、仕入先メーカーとともにWIN-WINの関係―持続可能なビジネスモデルを築くことができました。商社ビジネスは“機を見て敏”という行為が重視されますが、在庫を持たないことで機を逃さない風土ができるとわかって以降、こうしたメリットを意識的に社員に伝え、「受発注システム」として磨き続けています。


「コミュニケーションあってこその組織」
 現在、当社には40を超えるグループ企業があり、事業領域も、電子部品・半導体関係にとどまらず、情報機器からアミューズメント、スポーツ関係まで多岐にわたります。先の見えない環境変化とそのスピードに“機を見て敏”に対応していくには、個の力だけでは限界があります。その力を最大限に活かすためには、組織のあり方が重要となります。
 その基本となるのが、社員の意欲に“NOと言わない”こと、そうと決めたら徹底的に権限委譲をすることです。人間は本来的に成長したいと願うもの。その成長を実現するうえで任せることは重要であり、人育たずして企業の成長はありません。もちろん挑戦がすべてうまくいくわけではありませんが、失敗から学ぶことも大切です。私自身、数々の失敗を糧に成長してきた経験を踏まえて、失敗からの敗者復活を含む信賞必罰的な制度も設けています。
 また、こうした挑戦と権限委譲の仕組みに血を通わせるのがコミュニケーションです。創業間もない頃、私は終業後に社員とお酒を酌み交わしながら、密にコミュニケーションをとることで大いなる一体感を感じていました。仲間がいるからがんばれる、仲間とともに達成しようという気分になるのです。こうした経験をもとに、社内の風通しを良くし、皆で目標に向かっていけるよう、さまざまな手段でコミュニケーションをしながら価値観をすり合わせていく組織づくりに注力しています。
 その想いが「会社は創業者のものではなく皆のもの。だから数字も全部オープンにすべき」という信念につながっています。皆で努力した結果、儲かれば皆で分配し、苦しい時期には皆で多少我慢してでも次の飛躍をねらう。会社の状況をガラス張りにし、社員全員が経営者の目線で未来のことを自分ごととして語れるようにする環境づくりこそが、本当の経営じゃないか、と信じています。


「人は有限、会社は無限」
 日本の企業は現在、残念ながらグローバルな環境変化への対応が遅れています。シリコンバレーはもちろん、中国、韓国、台湾もビジネスのスピードが速く、とくに中国ではロボットや燃料電池などの分野であっという間に大きく成長する企業が続々と出ています。
 これから、エレクトロニクス業界は、IoTやAIといった産業界全体のキーテクノロジーが、その発展を牽引し、大きく変化、成長していくことが予想されます。こうした中、自動車の電動化・電脳化といった変化の速い領域のビジネスに勝ち残るためには、意思決定における圧倒的なスピードがますます要求されます。だからこそ、私たちは広い視野で目を配り、これからの電気自動車はどんな部品が要るだろう?どんなICが要るだろう?どんなユニットが?というように、アンテナの感度を絶えず高めていかなければなりません。
 “人は有限、会社は無限”、企業活動にゴールはありません。創業50年を迎え「100年企業」に向け歩みだそうとしている当社も、持続的成長のために変化し続ける必要があります。50周年を機とした総額50億円を予定しているベンチャー企業への投資や、安全・安心や環境保護といった社会ニーズの高まりに対応する新たな商品・サービスの展開もその一環です。ただ、こうした新しいことに挑戦しつつも、これまでも、これからも“すべてはお客様のために”という理念は不変です。

2018年3月期の振り返り
「13期ぶりに経常最高益を更新」
 初めに、2018年3月期(2017年4月~2018年3月)における加賀電子グループの連結業績について、その要点をご報告させていただきます。
 当期は、売上高から当期純利益までの全ての項目で前回予想を超過達成することができました。遊技機器向けビジネスは想定以上に厳しい状況でしたが、EMSや住宅・商業施設向けビジネスで跳ね返し、期中に2回上方修正し、有言実行を果たせたと考えています。これら事業が当社の収益基盤としてしっかりと根を張ったことで、13期ぶりの経常最高益の更新ともなり、「中期経営計画2 0 1 8 」でめざす“利益重視経営の確立”に、一定の手応えを感じています。


売上総利益と販売管理費
“利益重視の経営”をめざす
 “利益重視の経営”の視点から、これまでの取組みを「売上総利益」と「販売管理費」の2つの側面で総括します。過去に経常最高益を達成した2005年3月期と、私が社長に就任した2015年3月期から当期までを比較すると売上総利益は大きく増大し、利益率も改善方向にあります。これは、収益力向上を目的とした適材適所の人員配置など組織力・事業基盤の強化を土台に、付加価値型のEMSビジネスを伸ばしたこと、なかでも2005年当時にはなかった「車載」「医療」「電動工具」などの新規分野を積極的に開拓したことが鍵であったと分析しています。次のステップとしては、14%から15%台の利益率をめざしていきます。
 売上総利益は大きく増大し、利益率も改善方向にあります。これは、収益力向上を目的とした適材適所の人員配置など組織力・事業基盤の強化を土台に、付加価値型のEMSビジネスを伸ばしたこと、なかでも2005年当時にはなかった「車載」「医療」「電動工具」などの新規分野を積極的に開拓したことが鍵であったと分析しています。次のステップとしては、14%から15%台の利益率をめざしていきます。
 販売管理費は、2015年3月期は絶対額も売上高比率も2005年に比べて増加しましたが、この3年間はグループ会社の構造改革を進め、額・率ともに抑制に努めてきました。2016年には情報機器事業に係わるグループ会社3社を統合。2017年にはS iC基板を開発・製造する子会社の株式を外部企業へ譲渡し、本年度は国内の製造子会社2社を統合しました。次のステップでは、10%を切る水準に引き下げたいと考えています。


外部環境変化への耐性強化
EMSビジネスの規模拡大
 商社にとって、手塩にかけて育てた商材の代理店権を失うことや、先月まで好調だったお客様の製品販売が減速し部材の注文が減少するといった商権や商流、商量の変化はいわば日常茶飯事であり、これら外部環境の変化にいかに迅速に対応するかは、当社にとっても最も需要な経営課題といえます。
 こうした認識に立ち、売上高が過去最高だった2008年3月期と2018年3月期を比較しますと、この10年で500億円強減った勘定となり、2008年3月期にはアップル社製のパソコンやサンディスク社製のメモリなど今は扱っていない製品の売上が400億円強ありました。また、当時絶頂であった遊技機器向けビジネスは、その後の度重なる規制強化の影響で市場が縮小し、この間で500億円強減少しました。これらの要因を除けば、2018年3月期の売上高は実質的には増収といえます。
 このように、外部環境変化への耐性を高め、安定した収益を確保できた大きな要因の一つが、EMSビジネスの拡大でした。「独立系商社としての幅広い部品調達力」と「多品種・小ロット対応可能な生産体制」を強みに、お客様の業種や対応アプリケーションを広げ、生産拠点をグローバルに展開してきた結果、環境変化に強い多様性と柔軟性を持ったビジネスへと成長しました。
 私は、2017年3月期で売上高900億円弱だったEMSビジネスを、次の中期経営計画期間には倍増させたいと考えています。自動化・電脳化が進む車載向け、環境対応が要求される空調向け、ロボットやFA機器など産業機器向け、精密な加工技術を要する医療向けといった成長分野をターゲットに一層の成長をめざしていきます。


2019年3月期の見通し
中期経営計画の数値目標必達にこだわる
 2019年3月期については、現在、EMSビジネスの海外拠点拡大を通じて新規案件を次々と獲得しており、先行きは極めて良好といえます。しかしながら、一部の電子部品・半導体においては、部材需給が逼迫しています。EMSビジネスは1品でも欠品が出るとラインを流せなくなるため、部材をいかに安定調達できるかが重要になります。そうした不透明な要素も考慮して、期初時点では業績予想を非開示としました。
 ただし、2019年3月期は現中期経営計画の最終年度にあたるため、私はその数値目標の達成には最後までこだわります。先般公表しました「富士通エレクトロニクスの子会社化」(P14参照)の業績寄与分も織り込めば目標達成は十分射程圏内となりましたが、見通しがクリアとなる11月の第2四半期決算発表時に業績予想をご報告する予定です。


株主還元について
5期連続で増配を継続
 当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要な施策の一つとして位置づけています。長期にわたり当社株式を保有しご支援いただけるよう、剰余金の配当を通じてしっかりと報いたいと考えています。また、創業以来の「皆で努力した結果、儲かれば皆で分配する」という信条のもと、期初計画以上の利益創出が見込まれるときには特別配当を実施して株主の皆様に還元するガラス張りの経営を旨としています。
 2018年3月期においては期中2回の業績予想修正を踏まえて、配当予想も2回増額修正した結果、2014年3月期から5期連続での増配を続けることができました。今後当社が創出する利益の配分については、長期的視点に立って健全な財務体質を堅持しつつ、さらなる飛躍のための成長投資と株主の皆様への安定かつ継続的な配当を基本方針として実行してまいります。


次期中期経営計画の方向性
一流のグローバル企業をめざして
 現行の「中期経営計画2018」については、前述のとおり数値目標を含め、ひとまず達成の目途をつけることができました。そこで目下においては次期中期経営計画の策定を進めています。その全容については当期第2四半期決算と併せてご報告する予定にしています。
 めざすのは、現中期経営計画でも示している「わが国業界NO.1、そして世界に通用する企業」を実現することです。そのためには、“利益重視の経営の確立”をさらに追求し、売上高、利益両面で飛躍的に規模を高めることが不可欠です。どのような業界の専門商社でも、定量的に売上高が5,000億円に達していないと“業界トップ”とは言えません。世界に目を向けますと“兆円級”が目標となります。グローバル競争を勝ち残り、国際社会から一目置かれる存在になるには、そのような規模感が必要条件だと考えます。あわせて経営効率の視点では、現在9%超のROEを二桁にすることをめざします。
 定性的には、上記のような企業規模・業界ポジショニングに見合った会社としての体裁、ガバナンス体制を整備することも重要なテーマです。さらなる企業買収や業界再編に備えて機動的な持株会社体制に移行すべきか否か、社外取締役2名をさらに増員、強化していくことが必要ではないか、ダイバーシティ施策は実効性を持って進んでいるか、株主還元は充分かなど、それぞれ優先順位をつけて社内で議論を深めています。いずれにせよ、変化を恐れず新たな成長に挑戦し続けていく所存です。



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