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資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

1.現状認識

当社は、2021年11月、2023年3月期から2025年3月期までの3ヵ年を事業年度とする「中期経営計画 2024」を策定し、「更なる収益力の強化」「経営基盤の強化」「新規事業の創出」「SDGs経営の推進」の基本方針のもと、計画最終年度となる2025年3月期における「売上高」「営業利益」「ROE」の各KPIに関して、下記のとおり経営目標を定めました。 

2025年3月期 (経営目標)
当初計画
最新見通し
売上高
7,500億円
自律成長:6,000億円
M&A:1,500億円
変更なし
営業利益
200億円以上
300億円以上
ROE
安定的に8.5%以上
安定的に10%以上

 計画初年度となる2023年3月期は、世界的な半導体・電子部品の供給不足の追い風もあり、売上高および各段階利益は過去最高更新を続けるとともに、資本効率を示すROEについても過去最高となるなど、最終年度の経営目標を2年前倒しで達成しました。 
 このような初年度の実績を踏まえ、最終年度の業績見通しをアップデートし、2023年5月に「最新見通し」として公表しました。
 2年目となる2024年3月期には、電子部品事業において、スポット需要の消失やグループ会社での大口顧客との取引縮小に加え、年度後半より客先において在庫調整が本格化し、さらに本年5月公表の2025年3月期業績予想では、最新見通しには織り込んでいなかった在庫調整の長期化や賃上げの影響等の環境変化もあり、計画最終年度の売上高および営業利益において最新見通しにはいま一歩及ばない状況にあります。
 かかる状況の下、2025年3月期業績予想は、ステークホルダーの皆さまに対する「コミットメント」として、また最新見通しは「チャレンジ目標」として位置づけ、当社グループ一丸となって「中期経営計画2024」最終年度の総仕上げに取り組みます。

(億円)
2020年3月期
(実績)
2021年3月期
(実績)
2022年3月期
(実績)
2023年3月期
(実績)
2024年3月期
(実績)
2025年3月期
(予想)
売上高
4,436
4,223
4,958
6,080
5,426
5,500
営業利益
100
114
209
322
258
260
親会社株主に帰属する当期純利益
58
113
154
230
203
180
ROE(%)
7.6
13.5
15.7
19.6
14.5
11.5
株価(円)
1,702
2,480
3,255
5,010
6,380
-
PBR(倍)
0.58
0.75
0.87
1.05
1.16
-

注:株価およびPBRは各年度末日終値で算出

 
 

2.ROEの考え方

ROEは、「当期純利益率」「財務レバレッジ」「総資産回転率」の3つの指標に分解することが出来ます。下記のとおり、当社の直近の実績および今後の見通しから概算して12~15%は安定的に稼げるものとの考えを前提に、株主資本コストを意識しつつ「安定的に10%以上」を中期経営計画の経営目標としております。
 なお、直近のROEは、株主資本コストを超える水準で推移しております。

2020年3月期 
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
2024年3月期
2025年3月期
(目安)
当期純利益率(%)
1.3
2.7
3.1
3.8
3.7
3.0~2.5
財務レバレッジ(倍)
2.7
2.6
2.6
2.4
2.0
2.0~2.5
総資産回転率(回)
2.1
1.9
1.9
2.2
1.9
2.0前後
ROE(%)
7.6
13.5
15.7
19.6
14.5
12.0~15.0
<参考>





株主資本コスト(%)
6.6
8.1
7.5
8.1
10.6
10.0
 

3.今後の取組み方針

今後も当社が株主資本コストを上回る収益性でROEを持続的に向上させ、当社の事業や成長性に対して株式市場から正当な評価を受けることでPBRを改善し続けるために、「中期経営計画 2024」にて策定した諸施策の着実な実行を始めとする、以下の4つの取り組みに注力してまいります。

施策(1):「中期経営計画 2024」の着実な実行
 中期経営計画で定めた諸施策の着実な実行により事業成長と収益性の維持・向上に取り組み、計画最終年度における経営目標の実現を目指します。

施策(2):株主満足度の向上
 中期経営計画で定めた株主還元方針(①安定配当の目安としての連結配当性向25~35%、②業績連動配当としての特別配当の実施、③機動的・戦略的な自己株式取得)の着実な実行により株主満足度の向上に取り組んでまいります。
 また、今秋策定予定の次期中期経営計画においては、株主還元策の更なる進化・向上に向けた議論を深めます。

施策(3):サステナビリティ経営の推進
 社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ委員会」が中心となって、従前より取り組んでおりますCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全社で横断的にサステナビリティ経営を推進してまいります。
 2025年3月期は、温室効果ガス排出量の定量化および削減目標の策定に注力し、TCFDやCDPなど外部機関によるESG評価の向上を図ります。

施策(4):積極的なIR活動の維持・強化
 従前よりIR 専任組織である「IR・広報部」が中心となって取り組んでおります、投資家向けの会社説明会や決算説明会等IRイベントの開催、当社IRサイトや統合報告書、各種メディア(経済紙誌、専門紙)等を通じて定期的な経営情報の発信に一層努めてまいります。加えて、海外も含めた株主・投資家との建設的な対話には、社長執行役員が中心となって精力的に取り組んでまいります。
 今後は、これらIR活動で寄せられた意見等を取締役会でも共有し、経営戦略のレビュー等に活用してまいります。