メキシコ新工場稼働:加賀電子の「ものづくり」は新たなステージへ
2024年8月、メキシコの新工場を視察してきました。これまでにも世界各地にある工場を巡ってきましたが、300名近い社員が総出で出迎えてくれたのは初めてでした。驚きとともに、新工場の成功に対する皆さんの熱い想いをひしひしと感じてきました。
工場内の最新鋭の実装機がずらっと並んだ様子は、実に壮観でした。2025年3月期の売上高は、空調機器や自動車関連で100億円程度の見込みですが、3、4年後には500億円を見込んでいます。従業員は、2017年に建てた現工場からも集約中で、1,000名規模に拡大していく計画です。
この新工場ではユニット組立てや電装基板実装が中心ですが、パートナー企業との協業で部品成型や板金加工などの機能を持った合弁工場を併設しています。メキシコでの機能の幅を拡大し、北米市場だけでなく、中南米市場にも供給できるEMS拠点としてお客様のものづくりに貢献することが狙いです。
また、建屋の屋上にはソーラーパネルを設置し、自家消費型太陽光発電を導入しました。電力コストと環境負荷を低減するとともに、電力インフラが脆弱なメキシコでは停電への備えとなります。
歓迎イベントでは、「ビジネスが拡大して儲かれば、社員に積極的に還元する」という加賀電子グループの考え方を説明し、現地の皆さんにエールを送りました。
加賀電子グループのEMS拠点はメキシコのほか、中国をはじめ、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムのアセアン地域、そして欧州地域ではチェコとトルコがあり、インドも急速に事業を伸ばしています。これで、世界中でものづくりができる基盤が一層強化されたと大きな手応えを感じています。
まずは動き、さまざまな経験を重ねた人財が加賀電子グループの財産
EMS事業も元をたどれば、創業以来大切にしてきた「すべてはお客様のために」の積み重ねです。「Noと言わない」を信条に、秋葉原での“便利屋”がスタートでしたが、評判を重ねてお客様が増え、業種を問わず、“この部品が手に入らない”と頼まれれば、海を越えてでも探し出して来る。これを繰り返すうちに、その時代時代に必要とされた部品を集めるだけでなくキッティングする、そしてユニット化するようになったことが「ものづくり」へとつながっていきました。
お客様から依頼があれば、「まず、動く」。これが社風となって組織の隅々にまで浸透しています。だからこそ、時代の変化を先取りできるのです。そして、お客様からの依頼を理解して競合他社より早く動き出すには、何より勉強していなければできません。
もちろん、やったことがすべてうまくいくわけではありません。相当な苦労をすることも、失敗することもあります。部品でも海外を飛び回っていましたが、現地法人を設立して完成品の海外事業に本腰を入れたのは、自社ブランド「TAXAN(タクサン)」のパソコンモニターがきっかけでした。1980年代、その名が示すように、モニターは欧米市場で売れに売れました。後に、安価な東南アジア製の競合製品が流入するようになり、撤退を余儀なくされましたが、この英語圏でのビジネスで鍛えられた営業マンやエンジニアが、後にEMS事業を切り拓いていったのです。たくさんの経験を積んで人が育ってきたことが、加賀電子グループの財産です。
どの業種・業態にも通用する加賀イズムを堅持し、新規ビジネス、仲間づくりに挑戦
「すべてはお客様のために」に始まり、「Noと言わない」「在庫は罪の子」などに連なる加賀イズムは、時代がどんどん変化する中にあっても、あらゆる業種・業界のお客様に通用すると考えています。加賀電子グループが更に飛躍できるチャンスはまだまだあると見ています。
「1兆円企業」の実現に向けて、新規ビジネスの創出や電子部品商社の業界再編などこれからも挑戦は続き、新しい仲間も増えていくことになりますが、加賀イズムをしっかりと皆で守り合っていくという伝統をしっかりと堅持していれば、どんな困難も乗り越えることができるでしょう。