
川村
協栄産業のTOBについては、経営企画室が半年以上をかけ、調査、査定した内容に基づき、取締役会において、会社業績や将来性に対して買収価格が妥当か、買収後のシナジー効果をどのように見るかについて重点的に議論しました。
橘内
私は会計士の立場から、財務デュー・デリジェンスの内容を詳細に確認しました。協栄産業、新光商事ともに上場会社であることもあり、大きな問題点はないと判断しました。
取締役会では、今後のシナジー効果をどう評価するかがもっとも議論となった点で、それを将来の事業計画にどこまで織り込むかを中心に話し合われました。
佐藤
M&Aでは、グループイン後にそれまで指摘されていなかった課題が明らかになることがあるため、常にデュー・デリジェンスが形式的になっていないかを確認しなければなりません。議論においてはさまざまなやりとりもありました。加賀電子として一貫した方針のもと、成就することができたのは、今後に向けた大きな一歩であると評価しています。
大柳
私は、人事の観点からPMI(M&A後の統合プロセス)が重要と捉えており、「異なる人事評価をどうするのか」「加賀イズムをどのように浸透させるか」などに注視してきました。一方、当社には「多様性を競争力に活かす」仕組みに課題があるため、特に女性活躍の分野で協栄産業に参考となる取り組みはないかを検討してきました。当社に取り入れて成功させるには、カタチだけ整っていてもうまくいかないため、話を伺うメンバーとの目線合わせが鍵を握ると思っています。
川村
PMIは、非常に順調に進んでいます。協栄産業が培ってきた歴史や経験を活かしつつ、当社が築いてきた基盤にどのように融合できるかを優先して進めています。新光商事についても、同様の取り組みを進めてまいります。
営業面でのシナジー発揮では、どのような商材、技術があるかを情報共有しながら、技術を横展開できないか、自社が持つ商材を相手の販路に乗せられないかなどの情報交換を密にしながら取り組んでいくことが期待されます。
橘内
協栄産業は上場会社ですので内部監査部門があります。当社の内部監査部門と一体となることで監査体制の充実が図られました。その他の管理部門や営業部門においても人的交流がなされ、PMIが順調に進んでいくことを期待しています。新光商事も加わり、管理部門の厚みが増しますので、さらに管理の質を上げ、グループガバナンスの充実につなげていってほしいと思います。
監査等委員会では、海外も含め、子会社トップのヒアリングを定期的に行っていますので、こうした機会も利用してしっかりとモニタリングしていきます。
佐藤
グループインする側の従業員は何かと不安を感じ、職場環境の変化に敏感になりがちです。加賀電子グループのM&Aではこれまでも、「加賀イズムの浸透」という方針は一貫するものの、仕事内容についてはそれまでのやり方を尊重し、職場の調和に心を砕いてきました。
協栄産業においても、さまざまな機会を通じて、たたき上げできた方々との融和に取り組む話を耳にしており、その姿勢が貫かれていると感じています。
新光商事が加わり、組織も拡大しますので、今後起こり得る課題はできる限り早い段階でキャッチし、小さなうちに解決できるようにモニタリングしていきたいと考えています。
大柳
皆さんの意見にグループガバナンスの実効性を高める観点から補足しますと、そのためには、財務諸表上の数値というよりは、労務データの推移、とりわけ、時間外労働、離職率、内部通報件数がM&Aの前後でどのように変化しているかを注視していくことが必要です。
大柳
当社においてハラスメント問題が明らかになり、調査委員会を立ち上げて全社的に公表していったプロセスは、透明性の高さとスピードの点で非常に評価できます。
その一方で、再発防止策が完全なものになっているかについては、「これから」と言わざるをえません。“自分の時代はこうであった”との感覚、意識が心底にあることが、ハラスメントを引き起こしてきたと考えられます。今は、さまざまな取り組みで意識が底上げされ、それが行動変化に表れていく、まさに実効性が問われるフェーズにあるといえます。また、昨今では、ハラスメントが非常に多岐にわたっており、“こうした行動がハラスメントになる”という周知徹底を定期的に行っていくことが欠かせません。
佐藤
ハラスメントを、特定の人たちが起こした個別事象ではなく、会社全体の問題として捉えようとの認識が生まれ、社内調査したところ、多くの従業員が非常に高い関心、ある種の危機感を持っていることがわかり、“では、これからどうするのか”という段階にあると認識しています。この間、社外取締役を中心としたチームがさまざまな調査活動を行ってきました。その結果、人間関係にはさまざまな軋轢が生じる可能性があるものの、これらを組織全体として解決すべく努めていくという意識になったのは間違いありません。一方、管理職が「部下の指導にためらう」といった過剰反応が起こらないようにしていくことも大事だと考えています。
橘内
ハラスメント問題をきっかけに、問題が生じた際の調査の在り方から、実態の解明、そして処分の検討に至るまでのプロセスが、厳正かつ公平に整備されてきた点を高く評価しています。この2年間のさまざまなやりとりからも、役員も含めて意識が改善されてきたと感じています。
また、人財が同一の部署に固定化する傾向にあったことも要因の一つと考えられるため、今後当社グループが拡大するなかで、人財をさまざまに交流させることで課題を可視化し、再発を防止していかなければなりません。
川村
この2年間、さまざまな取り組みを進めてきた結果、相談しやすい職場環境ができつつあると認識しています。さらにこれを広げていくには、上司から部下、そして部下から上司も含め部門内のコミュニケーションをさらに活性化させていく必要があります。
また、橘内取締役が指摘したとおり、ジョブローテーションが欠かせません。一人が同じ部署に滞留してしまうと、上意下達の雰囲気になってしまうため、定期的に異動することが非常に重要です。今後の成長を牽引する海外人財についても、すぐには母集団が増えていかないため、ローテーションを定期的に行っていくことが大事だと考えています。