IR(投資家情報)Investor Relations

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統合レポート 監査等委員座談会


取締役の川村 英治と社外取締役の橘内 進、佐藤 陽一、大柳 京子の監査等委員4名が加賀電子グループの今後の展望について議論を交わしました。


監査等委員会設置会社に移行しましたが、今後、どのように取り組んでいくお考えですか。

川村

 当社は、いわゆる、オーナー会社でありますが、取締役会の議論は非常に積極的に行われています。今期から監査等委員会設置会社となり、監査等委員として公認会計士、弁護士、社会保険労務士という、各分野の専門家に加わっていただくことで、取締役会の議論も質的にさらに向上していくと考えています。
 この10年でM&Aも活用して事業規模が大きく拡大しました。その規模に応じたガバナンスがなされており、取締役会は効率的かつ実効的に運営されていると自負しています。


橘内

 私は監査役から監査等委員に就任しましたが、取締役会での私の姿勢は何ら変わっていません。私の専門は会計ですが、それ以外の分野でも気になる点があれば、これまでも積極的に発言してきました。監査役には議決権がありませんが、決議に直接参加する気持ちで議論に参加していました。議決権を持つことで責任はより大きくなりますが、ガバナンスに対する姿勢は変わることなく取り組んでいきます。


佐藤

 当社は、創業者が一から立ち上げて大きな成長を遂げた会社であり、創業者のキャラクターや仕事に対する考え方が社風として徹底されています。海外にも積極的に進出し、今日のように会社の規模が拡大すれば、会社としても、ガバナンスの観点からも大きく変わらざるを得ない、一つの転換期を迎えています。
 さらなる高みに行くにはどのようにすべきか、取締役会においても活発な議論がなされています。


大柳

 監査等委員会設置会社への移行は、ガバナンスの高度化と経営の透明性向上に向けた重要な一歩と受け止めています。私は「人的資本経営」という視点を強く意識し、特に女性活躍をはじめとする多様な人財が力を発揮できる環境づくりに注力していきたいと考えています。社外の専門家として、経営の健全性を監督するだけでなく、当社が社会から“選ばれる企業”となるための具体的なアドバイスを続けていきたいと考えています。



1兆円企業に向けた取り組みのポイントをどのようにお考えですか。

川村

 私は、当社で経理部長を含め20年近く管理部門を担当してきた知見を活かし、稼いだ資金をどのように活用しているか、適切に運営されているかを見ています。売上高1兆円を中長期目標に掲げていますが、売上重視を推し進めていくと収益性が低下することがあるため、収益性を高めつつどのように成長させていくかに注視しています。
 これまでのM&Aは、収益性に課題のある会社を当社グループに加え、タイムリミットを付けて改善し、利益貢献できるまでに立て直した案件が多く、今後もそのような案件が増えていくと思われます。
 M&Aに対する株主の皆様の視点は、“投資に対してきちんとリターンが得られるのか”だと思います。ですから、今後も、たとえ収益性の低い会社であっても、当社グループに入った後はしっかり利益貢献できるよう、収益体質に転換できる力を持ち続けてほしいと思います。


橘内

 海外事業比率が高まっていますので、海外事業を推進しつつ、どのようにガバナンスを利かせていくか、これに対応できる人材をどのように確保・育成していくのかが今後ますます重要になります。
 私は長く海外事業に携わってきましたので、ここをしっかりとアドバイスしていきたいと考えています。


佐藤

 当社は、営業マンが単に販売だけに留まらずお客様のために多彩な活動を行って成長してきた会社ですから、ややもすると社内の手続やルールが二の次になってきたところがないとは言えません。1兆円企業の規模となれば、“利益が上がればそれでよい”という経営では耐えられません。ときには、利益が多少落ちても経営の基盤をしっかりと固め、ガバナンス体制を再構築する必要も出てきます。
 社会的な批判の目が非常に厳しい時代を迎えています。体制の根幹を支える懲戒処分制度の運用についてみても、事と次第によっては会社の屋台骨や存亡を脅かす場合が起こり得ます。いままで以上にガバナンスを利かせていくことも考えなければなりません。素晴らしい営業力を今後も発揮しつつ、日々ガバナンスを意識して進んでいくことこそ、1兆円企業の達成に結びつくものと思われます。


大柳

 現在、ダイバーシティ委員会に参加し、人的側面および当社グループの強みを未来につなげる観点から発言を行っています。「1兆円企業」を目指すにあたり、単なる規模の拡大ではなく、従業員一人ひとりが成長実感を持ち、多様性を競争力に転換できる組織であることが不可欠です。その実現に向け、外部の視点を取り入れつつ持続的成長を支える人財戦略を提言していきたいと考えています。



パワハラに関わる事案※について監査等委員としてどのように取り組んでいきますか。

川村

 創業60年近くになる当社は、私も含めベテラン社員に昭和の体質がいまだに色濃く残っていると言わざるをえません。しかし、それでは時代の変化についていけません。
 会社は、チームワークで仕事をしますから、いかに人を敬う意識を植え付けていけるかが重要です。今回策定した再発防止策の実効性は、いかに人が変われるかにかかっています。それには、問題が起きた場合、人事部などの耳に入りやすい仕組みが大切で、そこから部門長に通知する、クローズにならない職場環境をつくっていくことが重要です。


大柳

 ハラスメントは、“自分の時代はこうだった”という固定観念から生じることが少なくありません。時代の変化を敏感にとらえ、価値観や働き方が多様化していることを踏まえて対応することが重要です。
 監査等委員としては、ハラスメントが会社にとって重大な法的・ レピュテーションリスクであるだけでなく、社員一人ひとりの働く意欲や生産性に直結する課題であることを経営陣が正しく認識し、再発防止策を徹底しているかを注視してまいります。また、教育や相談体制の整備が形骸化しないよう、実効性ある取り組みへつなげるようアドバイスしていきたいと考えています。


佐藤

 今回行った無記名の社内アンケート調査を見ると、従業員が本事案に対する会社の対応に非常に大きな関心を持ち、会社の将来を占うと見ていることがわかります。したがって、当社が毅然とした対応を内外に示し続けることが一つの試金石となります。私も監査等委員としてここを重点的に見ていきたいと考えています。


橘内

 当社にはやや古い体質の風土があります。国内では改善されてきたものの、本社の目の届きにくい海外で起きてしまったことが非常に残念です。
 これから海外をどんどん伸ばそうというステージにありますから、海外に出て行って活躍しようという人材の意欲を削ぐことがないように再発防止策をしっかりと実行していかなければならないと考えています。


※ 2024年12月、一部のインターネットメディアに、当社中国現地法人において発生したパワーハラスメントのような行為に係る記事が掲載されたことを受けて調査委員会を設置し、橋本取締役が委員長、川村、佐藤、大柳の各取締役が委員を務め、事実関係の調査・検証、事実認定された役職員への処分ならびに再発防止策の提言などを行いました。